高血圧
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高血圧は安静にしている時でも血圧が正常範囲を超えて高いことをいいます。
一般的に血圧は動脈の圧力のことを意味します。
血圧は、興奮や不安・睡眠不足・食事などによっても絶えず変動しており、お身体の血管の状態を知るための簡単な指標となります。
高血圧の基準criteria
健診や診察室ではかる血圧が「最高血圧140mmHg以上」または「最低血圧90mmHg以上」の時に高血圧と判断されます。また、ご家庭で測る血圧が「最高血圧135mmHg以上」または「最低血圧85mmHg以上」である場合も大切な基準となります。
なぜ高血圧は治療する必要があるのか?the reason for treatment
高血圧症では頭痛やめまい・ふらつき、動悸(どうき)などを起こすこともありますが、自覚症状がない方も多くいらっしゃいます。
血圧が高い状態が続くと動脈硬化がすすみ、狭心症や心筋梗塞、脳出血、腎臓病のリスクが高くなってしまいます。
このような大きな病気の危険性を少しでも避けるため、前もって対策しておくことが健康でありつづけるために大切なことと考えられます。
高血圧症の種類classification
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高血圧症は「本態性高血圧症」と「二次性高血圧症」に大きく分けられます。
これらは病気の性質や治療方針が大きく異なるため、事前にきちんとした診断することがとても大切です。
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本態性高血圧症(ほんたいせい こうけつあつ)
高血圧症全体の85~90%程度がこのグループになり、「皆様が思いうかべる」高血圧症は、こちらを指しているものと思います。
本態性高血圧症は、原因がはっきりと特定されない高血圧のことをいい、生活習慣や遺伝的な要因が組み合わさって起こると考えられています。
ストレス、運動不足、体重の増加、加齢、塩分のとりすぎなどが影響し血圧が上昇します。 -
二次性高血圧症(にじせい こうけつあつ)
高血圧全体の10~15%がこのグループとなります。甲状腺や副腎から分泌されるホルモンの異常、腎臓の機能低下、腎血管の異常などが原因で血圧が上がってしまう状態をいいます。
具体的には、原発性アルドステロン症・甲状腺機能異常・腎性高血圧といったご病気があります。
また眠っている間にいびきや浅い呼吸を繰り返す睡眠時無呼吸症候群も二次性高血圧の原因となります。
若い方の高血圧、血圧の管理が難しくなった場合、血圧の変動が大きい場合はこのご病気を考えておく必要があります。
高血圧症の治療treatment
高血圧の基本的な治療には、「食事の管理」「適切な体重の維持」「運動」「お薬の内服」などがあります。
禁煙を含めた生活習慣の改善が最も重要であり、血圧の値や血管の状態を確認しながら、そのかたその方の生活に合った治療を一緒に考えていきましょう。
お薬の治療を考える前に、まずはご自身の日常生活を振り返ってみましょう。
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食事管理
塩分をとる量に注意していくことが大切です。血圧を下げる作用が期待できるカリウムを含む野菜・果物をメニューに加え、飽和脂肪酸・コレステロールが少ない食事も効果が期待されます。(※腎臓の機能が低下している方はカリウムのとりすぎには注意が必要となります。ぜひご相談させてください。)
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体重の管理
適切な体重にゆっくりと近づけていきましょう。お身体大きい方は体重を落とすことで血圧が低下する効果が報告されており、体重が1.0㎏減ると最高血圧においては約1.1mmHg下がると推定されております。
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運動
早歩きやスロージョギングなどの有酸素運動でも血圧の低下に有効と考えられます。
お忙しい日常生活でなかなか難しい場合もありますので、「歩く距離をふやすこと」から始めてみるのも良いと考えます。
血圧が非常に高い方は、運動がトラブルにつながる場合があるため、ぜひ一度ご相談いただければと思います。
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お薬での治療
食事や体重などの管理をおこなっても改善がむずかしい場合や、血圧の高さが目立つ場合はお薬での治療を考えていきます。
血圧を下げるお薬は数多くあります。肝臓や腎臓の機能、ナトリウムやカリウムなど体液のバランス、そして高血圧の原因を考えながら、おひとりお一人にあったお薬を選択していきます。